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グラインダー作業に資格は必要?必須の資格と概要・労災事例も紹介

2023年12月12日

あらゆる工事作業で活躍する工具の一つにグラインダーがあります。
あまりに使用頻度が高く、そして誰もが使うため資格について考えない方がほとんどではないでしょうか。

本記事では、グラインダー作業に必要な資格について詳しく解説します。
無資格作業での罰則と、グラインダー作業中の事故も紹介しているので、資格取得の重要性を再認識できるでしょう。

ぜひ記事を読んで安全作業に従事し、キャリアアップを図ってください。

グラインダー作業に資格は必要?必須の資格と概要・労災事例も紹介

勤務作業のグラインダー使用は資格取得が必須

勤務作業としてのグラインダー作業は、労働安全衛生法における、免許・技能講習が必要な業務の一つです。

厚生労働省令によると、グラインダーの刃(といし)の交換は「危険又は有害な業務」と定義されています。

そのため、事業者が作業者にグラインダー作業を指示する場合、「研削といし取替試運転作業者特別教育」の資格を取得させなければなりません。

もし、無資格でのグラインダー作業中に事故が発生した場合、事業者は責任を問われ罰せられます。

一人親方やDIYでのグラインダー作業は資格不要

一人親方によるグラインダー作業や、DIYの私的な使用に関しては、資格は必要ありません。

なぜなら「研削といし取替試運転作業者特別教育」の資格は、事業者が労働者に対して義務づけている安全作業のための特別教育だからです。

従って、一人親方などの個人事業主による作業や、DIYとしての私的なグラインダー使用に関しては、無資格でも責任は問われず罰則も適用されません。

グラインダー作業に必要な資格は自由研削か機械研削

グラインダー作業に必要な「研削といし取替試運転作業者特別教育」の資格には、下記のような2つの種類があります。

・自由研削といし取替試運転特別教育
・機械研削といし取替試運転特別教育

それぞれの概要・受講要項について解説します。

自由研削といし取替試運転特別教育の受講要項

自由研削といしとは、手に持つディスクグラインダーや切断機、卓上グラインダーなどの電動工具を指します。
以下、受講要項・カリキュラムの案内です。

・場所    労働局・各教習所(オンラインでも受講可能)
・対象者   18歳以上のグラインダー作業従事者
・取得費用  1万円前後

教育科目 講習時間
自由研削用研削盤、自由研削用砥石、取付け具などに関する知識 2時間
自由研削用砥石の取付け方法及び試運転の方法に関する知識 1時間
関係法令 1時間
実技教育 2時間

受講時間が短いため、手軽に取得できます。

機械研削といし取替試運転特別教育の受講要項

機械研削といしとは、平面研削盤や円筒研削盤などの工作機械を指します。
以下、受講要項・カリキュラムです。

・場所     労働局・各教習所
・対象者    18歳以上の機械研削といし作業従事者
・受講費用   1~2万円

カリキュラム 講習時間
機械研削用研削盤、機械研削用砥石、取付け具などに関する知識 4時間
機械研削用砥石の取付け方法及び試運転の方法に関する知識 2時間
関係法令 1時間
実技教育 3時間

合計10時間の講習は2日にわたります。

資格なしでグラインダー作業した場合の罰則

「研削といし取替試運転作業者特別教育」を受講していない作業者にグラインダー作業を命じた事業者は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられます。
作業者も同様です。

研削といしの交換作業は、厚生労働省令による「危険又は有害な業務」にあたるため、特別教育の受講が義務づけられています。

軽視しがちな資格ですが、手軽に取得できる資格なので早めに受講しておいた方がよいでしょう。

グラインダー作業による労災

グラインダーは手軽で用途が広いため、ときには無理な体勢で使用する場合もあります。
また、慣れてくると保護カバーを外して使う方が少なくありません。

グラインダー作業による事故を2件、紹介します。
うち、1件は無資格での事故です。
反面教師としましょう。

保護カバーを外したグラインダー作業中に指を切断

工務店の請負作業での事故です。
要因を列記します。

・押し入れの奥の薄暗い場所だったので無理な体勢で作業した
・不意に思い出したことがあって手が滑った
・普段からグラインダーの保護カバーを外して使用していた
・「研削といし取替試運転作業者特別教育」資格を持っていなかった

手から滑り落ちた保護カバーのないグラインダーは、回転するといしが床と壁で跳ねて手に直撃し、作業員の指を切断したということです。

資格を持っていたら、保護カバーを外さなかったかもしれません。

内装作業中に誤って自分の太腿を切る

令和元年6月、横須賀市の大型商業施設における内装工事中の事故です。
床の下地を剥がす作業にグラインダーを使用していた作業者が、誤って自分の太腿を切ってしまいました。

受傷の詳細は不明ですが、問題視されたのは事業所が労働基準監督署への報告を遅らせた点です。
報告は事故から8か月後の令和2年2月でした。

事業所は、労働安全衛生法第100条(報告等)違反の容疑で横浜地検横須賀支部に書類送検されました。

どのような理由があるにせよ、報告が8か月も遅れることは周囲に疑念を抱かせてしまいます。

グラインダーの周辺資格も取得して安全作業とキャリアアップ

仕事はキャリアを積むに従い幅が広がり使用工具も増えていきます。
将来に備えて準備しておくに越したことはありません。

例えば「研削といし取替試運転作業者特別教育」の資格保持者なら「切削工具研削技能士」を受験できます。
視野に入れておくとよいでしょう。

一つでも多くの資格を取得しておくと、業務上のアピールや転職に役立つことはもちろん、プロ意識が高まり安全作業に取り組めるでしょう。

まとめ

勤務先での仕事としてのグラインダー作業には「自由研削といし取替試運転作業特別教育」の資格が必要です。

無資格の場合、事業者は6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金、作業者は50万円以下の罰金を科せられます。
肝に銘じておきましょう。

たとえ罰則がなくても、資格取得は安全作業とキャリアアップに役立ちます。
グラインダー作業を軽視せず、多種多様な資格にチャレンジして、自らを成長させましょう。

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